653658 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

ひろやすさん写真詩詩文控え1 by 塚元寛一

【1】


この階段はたいてい身体のどこかに赤い傷
口をもっていた。誰の若い血だろう? 真夜
中、悪夢を見た。誰だろう、鑿をもって暗黒
なる像を彫り上げたのは。

  死の口は白いシーツの襞のなかにある骸
骨がどこまでもどこまでも浮かぶ

 胃袋があったのだ、消化液が分泌されたの
だ。血管はどこからでも見付けられる。そし
てそれは胸の奥に沈んだ心を持っている者な
ら誰しも殺人者として。

  **ねじられた生命を感じる
  人が怖れと後悔をいだきながら、

   **ピンクパアール パアール!と

 ランプに光をともして、孤独者たちがゆく
のだ。骨と皮ばかりだ、うるせエ! 階段は
郷愁にみちた曲を奏ではじめる

  夜ごと、あの行き先を夢見た、つよい匂
いがただよっていた、マンドラゴラ、青いチ
ューリップ。コンクリートの床や壁から夜は
問いかける?でも何を?

  **凍りついたあなたの昨日を

 夜・・・。ー扉に鍵を掛けなくてはいけない、
死の気配がただよってくるから。そしてそれ
がナイフの刃のように燦めく夜、―――蒼白

  **あなたがのぞんでいる結末を

 私が言い当てる(不思議でしょう?
  ・・・でもそれは生まれた時から



【2 夜のふしぎ】



ぴーがっしゃん 
ぴーがっしゃん

 ( あらぬ声のきこえてくる 絵描きが
   月の光に目をとめて

・・・ぴーがっしゃん 
・・・ぴーがっしゃん

( それで何が起こったの? 空は割れたの
   パッと価値がなくなったの
ぴーがっしゃん 
ぴーがっしゃん

( るるる

それはエエテル、それは音波

扉がひらかないほど奥床しく
扉にさわれないほどなやましく

「ぴーがっしゃん。」と鳴るばかり
バタフライ・リズムのけんもほろろ

画家は 首をかしげて

「蛾だな。」と笑った



【3】



ぼく、ミッキーマウスだよ
さあふしぎなダンジョンだよ
さあおいで、
ゆめのくにへ



【4 炎の影】



橋みたいに見えるね
、天凛(てんりん)の夜が
      こうして閉じ
絵の具は体内の
  奥深くへ、と注ぎ込む

  ( 傾いていく太陽は
   晴れた一日の

    人々の肌に躍った

・・・夜、きみは愛人になる
ーはじめての愛撫、薄暗い一室で
夜のネオンも、
知らずに、
脆くて移ろいやすい絵が

     ・・・瞳を焦がして



【5】



自然が拮抗する
・・・追い、-追いここまで押し寄せてきた
僕は考える。-落ち込む
冷え冷えとした夕方、ちらと寥(さび)しい考えがよぎる
  やはり沈んでいた・・・、
静かな世界の夕べ、



【6】



あなたの足に
フェレットが
いえいえニャンタロウ
マジンガーというより
オジンガー
これを書いてる
わたしもいっしょに
 オドロンガー
ねこはねこで
 オリレンガー



【7】



わたしは波しぶきを立てる
花のうえに詩を書きたい
うるわしくさわやかなたわむれ
沈黙の中に教会の姿さえ見るようだ

  だが突然、頁の上にー。・・認識され、
   運命の衣を着せられ

陽炎のように・・・、夢野国の地下水のせせらぎ
ーすべてのマストをうしなった船の
しなび縮んだ太陽
すなわち月でもなく太陽でもなく

 ただわたしの心臓が旗となり、・・・花々を
  やさしくふるわす

そしてそのあとには情熱の眼のさえぬ
昼と・・・、また昼と、そして昼と

男は立ったまま息をととのえ、
単調な“湧く”の中に
遠くなってゆく
硝子玉にかけられた心の中の声を

魚の動作の習得とばかりー。落ちて・・、
また檸檬のかおりをさせて
・・・落ちて、こんなにも静まり返って
誰の眼にもとまらないで

  そびえたつ、-青い草叢をこわすために
 つぶすために・・・、夜を知るために
   まだ誰も知らないために



【8】



まじり合うだろう、さまざまな皿の
ひと口、ひと口が
きいきい叫んだり、煙草をくゆらしたりしながら、
だが、ひと足ひょいと夜へと出れば

・・・眠れないという寝言がきこえ、
いくら騒ぎ立ててみても、
世情を憂えていながらも、しょせんは
他人ごとー、世迷い言・・。

更けてくる夜、支点に目を据えて、
かかる孤独にすら・・・、ひどく飽いて
今日の記憶の切れはしを数え
わたしは皺をなぞりながら、

 ( 溝を走る泥水となりながら

橋をくぐってゆく、じゆうな 。それも
じゆうに 水の形になりながら

越えてゆく

 ( この世界の重みを、

あやうくさらわれかけたのだ!
海に達するほどの距離を
君は知ってゆく・・。-焼き払うべし
という憂鬱な心の向こう側を



【9】



どうしてこうも綺麗さっぱりと何もかも
なくなられたのか。と話に聞くたびに涙が
出る。その人は頭の上に花瓶を四六時中の
っけて、そこに花をいれかえていたのだが、
「あぶない!」という甲高い声がきこえたか
とおもうと、ぱりん、と音がして、割れた。
ーすごいバランス感覚だ。-むずかしいけれ
ど、やれるものですよ。・・・あの一連の会話
は、一種、つぐないような機能を持ち始め、
今日という日まで迷走していたのである。顔
をかすめて、すうううと落ちた時、彼がそれ
まで貯め込んでいた富までもが、一緒に落
ちたのだ。まだ何も知らぬ、いたいけな存在
であった男は、沈んだ声で喋れなくなる。あ
の時まで、ぼくらは気付かなかった。あれは
拡声器だったのだ。・・・その日、彼は蚊の鳴く
ような声で話、ながく、あまりにもながく、
彼はおどおどとして、うつむき、精彩をかき、
まるで親に張られた少年のようにみじめであ
った。・・・みな、忘れようとしたが、胸がちく
りとした、-あの時、誰もその花瓶を支えよ
うとせず、それ所かその内側が、水垢で汚れ
ていると囃したことをみな、悔いていたのだ



【10 記憶から消える】



朝、
朝食の匂いがしなかった。
水のきれいな土地に
過去という織物に
花模様をおいたばかりで・・。

枕もとに眼鏡を忘れたと
取りに戻ると、
なかったはずの花が部屋に飾られ、

庭の花の莟が消えている。
そうかと思うと、
ー冷蔵庫の食糧、ビールなどが
すべてなくなっている。

夜から朝にかけて、
何が起こったのだろう、

不意に・・・、系図を記した巻物が
眼前をよぎる。



【11】



肢体から関節のふしぶしまで
ぢゆくぢゆくと鞣めし、
なおまちゃ、・・・ねっとりとした花弁は
なめらかになる

羽織の紐を結んでいた手をとめ
つめと肉の間に、
しろい生皮が
紫と薄紅のあわいに

染まり

 止まり (停止し、 からだの隅々まで
 ゆこうと、眼から逃げ落ちてゆこうと

はらはら

花見客でざわめきはじめている大通り
でもないのに

 まだ ばっと燃えあがらせる
 いやらしさの奥の本能の健在

拗ねたようにカーテンが膨らむ
風が太陽を覆い隠す

  ・・・迷妄と揶揄のリボンが

どこからともなく女が



【12】



無力な夜にはバベルの塔のことなんかをよく考えるものさ
合うようで合ってない、
どれもしっくりきちゃこない
より大きな自己の内部で


Q&A
唇が切れて
いる

たと
えば
舐めて
ゆくつもりだ

そのテクストで引き裂く



無力な夜はトンネルの中で硬直する
無力な夜はトンネルの中で硬直する
無力な夜はトンネルの中で硬直する



【13】



「ハアイ、ポンジュール、あなたマヨネイズ食った顔」



【14】



手が届かない星ってありますか?



【15】



蔦や蔓
ゴムの樹

  冴えながら淡くけぶり
 稍(やや)に重く

翅音
・・マラリヤに怯える

  空調設備なしに暮らせない
 ロボットに外出を頼む

ただ、月が好きなんだ、
ああ、夜だけは、・・・

  出るなと言われた台風の夜、
 いまだ誘惑に駆られるー。

ああして浮かんでいる
ーふたつなき日のはるかなる

  -ふたつなき目のはるかな
 斜にゆるく流れる光は

嗤(わら)ふ力も尽きはてた
また回らぬ日の夢か

  日の夢なら云ふにも足らぬ
 云ふにも足らぬ

  底に沈みて悲しめる



【16】



カエル王国


電燈がほつれ
 星は、かつての
その下を流れる
  街はやがて、泡になる
どうぞ一生
 あなたの子供で、



【17】



思い出を、カタチに
 ヒトミに、やさしさを



【18 トレイン・ビュー】



枯れ枯れと連なっている建物
肥った柱
  なんて泥だらけなんだろう
  なんで蚊帳を思い出す
 絶え間なく行き交う車両の騒音
  呪う人は曲がりくねった百の
手をあずけ
  埋もれてしまった
月下を歩み去る

  きっと、クセになる
 また、アメが降る

  乱れた曲線
 絶え間なく行き交う車両の騒音
  、もっと乱れがちな呼吸で



【19】



 い
夜い



【20】



ハハハハ。
無視された一個の人間の彷徨の姿
グレた、ソレただの、なまぬるい

これがエンタテインメントだ!

  選べ、・・・そして進め!
 今日は何でも言えるぞ。

  呪文のようにフレーズよ
死を孕んだ逃れられぬ現実も
 憩いの場所がありましょう

  さあ、興奮の頂点へ!

悲しみを湛えて
 運命の糸を紡いで

幾重にも鎖された網膜の奥底へ

 、いつも。すぐ。そこ・・、



【21】



新らしい世界を探していた
ちょうど蝸牛がにゅうッと背のびをしたように、

 僕の指が
ゆびが、

ぴりぴりって空を破いて

 裂いて
めくって、

血管が、ヌルリとすべる脂肪が
肉が、赤、黒・・・、白

―――ラプンツェル! ラプンツェル!
 お前の髪を下げてくれ

  さまざまな困難な出来事が
つぎつぎとふりかかってくる

  というのに、と い う のに、

ティングリーのキネティック・アートは
終わらない

  まわる機械( まわ る/視界



【22】



手でふれると黄金になるという話は才能をあらわしていて、
あれは金の卵をうむニワトリのようなもので、
その瞬間に、弊害、・・・生活ができないということは念頭におかれるのだけれど、
それを管理する側にとっては、ひとつの秩序にすぎないのだ。

行って帰ってこれなくなる話というのは、、純粹な藝術である。
後ろ手にしばり上げられ、目隠しをして、声とてこだまのような、
衛星放送のおくれてくる声のような、
そんなふしぎは夜空にざっとばらまいた金貨が知っている

   ぼくは夏の光の中で走っている少年や少女が
   あのきらめきが・・・、青春の蒸発というものなのだと知っているが、
   首尾よく生還したら、それは宝物を見付けたということなのだ。
   それは不純でも何でもない、自分の眼に間違いない、
   と信じるに値した、不可避の、闘争の結果なのだ。

   そして時はばら撒くだろう、砂金を。
   掠め奪わるる、生命という黄金を騙くらかすために、娯楽は蔓延し、
   しかし蹈みとどまろうとする人においては商品化された、
   時は金なりのフレーズさえもがなにか胡散臭いのだ。

   自分は旅に出た、はた迷惑になるため、謎をさぐるため、
   そしてくらくらと目がくらむ、金いろの街を血みどろにするため



【23】



燃える街、燃える葛藤
・・・火葬場で死者の声を聞く
。私のもろもろの感情は噴火のように天を衝く!
ジャコメッティ「道をわたる人」のような、ほそながい、扁平な人間たち
うすいせんべいの型からぬいたような人間たち、

灼熱の原子炉に一日、二日、三日まだキリコの「詩人の不安」
眼玉も掻きむしる、木の根草の実を食べる―――幸福な様な悲しい様な
空想の地獄・・・。パルミジャニーノ「長い首の聖母」みている様な
かなしい母を求める幻の様な、可憐な命の常夜燈

デルフォイの御者像は焦げた人のように思えます。
アアれは墨れす・・、でなけりゃ闇の国の人です
地獄の最下層でじぶんは魔術を知った。「何んだか声がしたので、又誰
だれか来やがツたと思ッたんだが、空耳・・・」

でも憑いていました、見出されぬ出口が、憎しみが、
帝国崩壊後まもなく、強い者に巻かれる、支配されるということが
起こったわけなのですけれど、ビルマ・ニューギニアの魂は
どこへ帰ったのでしょうね・・・。

  きょう、腐った死体をみました。生命保険のかけられた死体を。
  証人喚問中のFの××でした。一般傍聴席でそのしらせをきいた、
  情報提供者の提供者が小便をもらすほどの事態でした。
  その時、Fの秘書はほくそ笑みました。そのあと、
  新聞記者が姿をくらましました。



【24】



わたしの靴はサラダしてる
たまにカボチャのにおいがする
そんな アポガド!
いけないいけない、つい野菜の名前が
大根してしまう
言うつもりはないのだ ピーマン!

わたしの靴はサラダしている。してる
ボウルみたいに
ドレッシングでまぜられる

スミッソン「螺旋状の突堤」みたいに、
シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」みたいに

けれどもそのサラダの味
あじ
が、どうしても忘
わす、
れられな い



【25】



ぼくは、仏像が埃をかぶっている姿を想像しました。
そしてそれは宇宙の姿をして、
なにかぼくに、曼荼羅の世界観というものを、
・・・いやしかし、曼荼羅ではない、わずかにずれた世界
というものを

・・・記憶せよ! 薔薇色の感情に高揚されて
幻の如く描かれて

比らべて御覧なさい!ごらんなさい・・、
たいまつやら、蝋燭やらを壁だの天井だのにさしつけて、
井戸の中で物を言っている

だから傷の深さを改めて理解し、
見知らぬ部屋の薬物や自由を買うのだ
執拗な騙し合いや駆け引きをさぐるのだ

人生は隣り合わせの位置を占めている
智識を愛し、旋律の中に

それからまた二三発銃声がして、一歩踏み出すと、
四五人の黒い人影が走って



【26】



     違う人生を好きなように選べたら、
     それはそれでいいんだろうな、
     生きてるって実感をする時があって、
     そういうなんやかんやを知りながら、
     人ってやっぱり弱い生き物だと感じられたら
    ・・・いい夢を見よう。 

   色んなことを考えていたら、
  時間はあっという間・・。

   ふと子供の時のことを
  思い出したりして・・。

     ―――どうして、
     蔵っておけないのかなあ
     沈まない太陽が欲しいけど、
     中々暑いね、・・・この陽射し。

    沈みゆく、この感じ。
   アンニュイのダルのユウユツの・・。

    沈みゆく、この感じ。
   ブルーギルやピラニアの・・。

違う人生はきっと・・。
―――でも、本当にいつか、
 こんな柔らかさを永遠にしたい

   ・・・夏は、僕を子供にする―――
   神の手から逃れられない
   消えてゆく、駆け出してゆく、
  ・・・風、が



【27】



割れた硝子の上を裸足で歩く
変態の 正体見たり オカマバア
―――グフフフ
 、ガハハハ。クケケケ・・。


  人生ってそんなものだ


机のうえの電気スタンド、鉛筆削り、読みかけの小説数冊、
ポカリスウェット。高校の教科書、ノート、筆記用具
本棚。―――壁に貼り付けられた一枚の海の写真。
ポスター。地球儀、花瓶と造花、掛け時計。
 小物入れ。しろいカーテン。

   あの日と呼べる、あの日なんてあるはずもないのに
  今一番きいてみたいのは、ぼくのこと、

 ・・・・・・どうして切なかったのって
  あの日に尋ねたい



        僕の顔なのに
          顔なのに
          顔 に
             見えなくなっていた・・・・・・


    僕の右手にあるものは やっぱり右手にあるよ
   僕の左手にあるものは やっぱり左手にあるよ


 ノックもせずにエクスキューズだけはせずに
 あたかも 永遠を 
 、あなたは 覗き込み



【28】



インスタントラーメンみたいな才能がいるね、
生きる為には。

           「日付不明」より

優しさなんて出すもんじゃない、
悲しみをまだ知らない。

           「日付不明」より

悲劇は避けられるが 回避はできない 

           「日付不明」より

知らぬ間に、解っていたり、
解らないままだったり、まるでサイコロを振るみたい。   

           「人生はサイコロ」より



【29】



雨のち晴れなんて、嘘
少し笑って、ほんの少し泣いて
スウゥィングした空
ぎぃぃぃぃツ ばたん ビュン
金網のある、
ネットのある、鉄骨バッティィング・センタアァ
建築
目にどうやら入りながら、心にまで沁みてこない
何でも言っていいよなんて嘘・・・!

 待った! (・・・俺は豪快に空振りする、
  月の人のひとりとならむ

  オーケー、オーケー
 もっと高く、空は在る。
 今日もはてぬ
 ・・・重力を、重圧のごとく感ずるものの悲しみ

 ズンズクズンズクズンズク!ドン
 ―――隙をみて 奪い取る

   あの太陽を  、あのFlag を

  光ノ汗ヲ感ズレバ
  青空に君臨するもの 
 海鳴りのとどろくの日

 (投身の誘惑
  かの町はるかの地平に消えて

   船より来ぬの日
  雲より流るるの日

無意識の世界へとすべりこんでゆけば、
これ以上ペダルを重くしないで・・。
ーでも、振り回す金属バット! 

  そのまま 
 永い永い眠りの中へ・・、
 煌々と人離れゆくバッティィング・センタアァ
 ー何もなくても振り回したぜ・・。

 ズンズクズンズクズンズク!ドン
 ―――隙をみて 奪い取る
 おもへば世界はあまりに暗く
 ヘヴィィィィィィなディストォォォォォーション

   あの太陽を  、あのFlag を



【30】



例えば倦怠とか


思うとおりにいくことが多くて
すらすら前に進むことができる時

この一切の証明を無視した事実は

笑うと

世界が ほろびても

もう 


だきあったまま
私の愛する音楽が流れやみ、

あはは



【31】



なよやかで白い
すすりなくこえをひそめて
さらに
青い

つきまとふ水のうす黄

液体に濡れていれば
鞣された皮の裂け目に


・・・無数のじんましんが
ダイヴ
「またね」なんて言うフォロー
ダイヴ―――ゼロになれ

、死者
眼さえひらいていなければ
私をおびやかさない。

こつ こつ と耳に寄り添ふ

一瞬に組まれては崩れ、
崩れては組まれるうつろに廣き水の面

あちらの網膜・・
、網膜のうえを蝿がむずむずとし
濡れしとった畦道の草むらが覗く

孔雀はうるめり
この
、面はうごきやまない球体の翅

倦むか翳るか退くか
とことはのさかりの
すあし冷たく

あなたの裸体



【32】



穴が開いている、穴が開いている
穴が開いていて空気がぬける
すぽすぽとへんにまぬけな音をきく
―――両手をひろげても、両手をひろげても、
うまくはしれない自転車か?自転する車か?
いや漕いでいる!漕いでいる!

  穴はどこへと続いているのだろう、
  ・・・たとえば、深海か?それとも地獄か?
  からだをゆすっても、からだをゆすっても、
  うんともすんともいわないでくのぼうめ
  おまえはうまくはしれない自転車だ! おい自転車
  おまえはパンクしているからスクラップだ

でも本当にそうか!ちがっているよ・・、とささやく
たよりなくてよわい声。ごちゃごちゃと
積みかさなった思い出で車輪はまわらない
―――なんでもそうさ、はしれない、まわらない、
うごけない、・・・でも人生は立ち止まれない坂道のぼり坂
いいかい君! おまえはパンクしている
ただ、穴が空いただけでおまえはスクラップへいかない

  穴が開いているなら塞ぎゃいい! ・・・風も暗いだろう
  それは夜とておまえにゃ淋しく辛いだろう
  ぷんすかぷんすか穴のあいた自転車で走れないだろう
  でもまるで過去がなかったように振舞うのは卑怯だぜ
  穴はひろがったらなら狭めりゃいい、
  穴だ!穴だ!穴だ! ――おまえはモグラだ



【33】



われわれはビールを飲む 
お茶がうまい


あ、いいね、そのうすいくちびる、
そのほそい声

 ジャガイモジャガイモ どうですか
グツ グツ、シュン シュン
ピュッ ピュッ ポオ

 こんにゃく、うでたま、大根 どうですか
・・・いいね、いい匂い
ちょいと熱燗くれるかい
 
 ぼくらはいつもある先入観にとらわれている
―――文字を読んでいる限り、
ここは永遠におでん屋さん。

 ・・・もちろんここはお寿司屋さんなのだけれど、
そこにもまた、ひとつの真実がある、
みんなとちがって、それがいい。
ぼくははぐれました―――その店はあるまい、

  時間が経つと、色んなことを忘れる。
 そしてそれ自体が、空想の領域を許す、と・・。



【34】



わたしは好きだ、恐ろしく憔れながらせなうち痛み息熱く
手短かに、それよ現実! ――放心の快感
いまひらめける其処に安住するでもなき人・・・!
ああ、あまりに夙く、懶惰くらくよどみ
――この人! かすかに肩のもだゆる



【35 自由律短歌 2月19日】



お互いに正論を言い合つてるつもりで――手を伸ばすこと・・・物を取ることを忘れ

まよなかとは何を見据うる靴ぞこミクロなら押しつぶされるのに



【36 自由律短歌 短歌実験 2月19日】



なにとかしげる避雷針、
みみなりのつづく夜ぞうきばやしから藍いろの風がはこばれて
耳穴に かさなつてゆく、
風のすり音たぶん問い掛けてる前髪垂れ角を曲がる男を
沈黙はいつまでもむらさきの海をみつめてる
今君はどこでどんな仕事をしているのか
――夕方もしも人びとのざわめきに・・・煙草のけむりを――
思い出すならあの日の夕もや
歩行者道路でうみの音をおもいだすなら
魚たちの群れるこの空気こほらせて



 + + +


なにとかしげる避雷針、みみなりのつづく夜ぞうきばやしから藍いろの風がはこばれて
耳穴に かさなつてゆく、風のすり音たぶん問い掛けてる前髪垂れ角を曲がる男を
沈黙はいつまでもむらさきの海をみつめてる今君はどこでどんな仕事をしているのか
――夕方もしも人びとのざわめきに・・・煙草のけむりを――思い出すならあの日の夕もや
歩行者道路でうみの音をおもいだすなら魚たちの群れるこの空気こほらせて



【37 自由律短歌 短歌実験 2月19日】



思ひ出はいろどり
唇の皮幾度もやぶれさかんに湧きあがる春の湿気よ
―――写真のなかからオヤ時計の音がきこえる
火を噴くばかりに指すこし震えて
「君」はGold
夕焼けのコーヒーカップかじかむ手ポケットにいれてしろい息
輝きを集めて帳――
幻のごとくにあらはれて・・・
迷つてはちよう、しろい水母・・・・


 + + +


思ひ出はいろどり唇の皮幾度もやぶれさかんに湧きあがる春の湿気よ
―――写真のなかからオヤ時計の音がきこえる火を噴くばかりに指すこし震えて
「君」はGold夕焼けのコーヒーカップかじかむ手ポケットにいれてしろい息
輝きを集めて帳――幻のごとくにあらはれて・・・迷つてはちよう、しろい水母・・・・



【38 自由律俳句 2月19日】



天使左眼の下で波の香をまとひ



【39】



この建物は窓という窓に
ハンガー・プラントをはじめました
帽子のひさしには流れ星が・・。

鳥が言いました
――ここでは、ビルに当たることがない
いつも太陽と月を眺めることができる

そのことば通り屋上にはさまざま
な、というよりすこしきままな木々が植えられ

人が言いました
どこかで無音の・・バルネラブル・ピアノ
、が鳴ってる――。

都市は成長しました。
あたらしいバルコニーの提供

――そして風景はいつしか
パレスの時代・・。



【40】



どこかに見つかりましたか
あなたの学校
あなたの教師



【41】



    まぶたをそっと閉じると
  その額に冬の陽が当たります
 
    ユラリと
 音楽プレイヤーの上で
 
    粉雪
   ビニール・ホースからとびだした水が冷えて
    へんに世界も冷えて

  ネーチャーゲーム
    、氷ります、音脈のつらなりはつらら
    「神秘主義の近郊の町――芸術へ・・」

    夜 キャンバスに
 いろんな絵の具を流し込みましょう


――窓から風が入ってきて
きのう 赤い雲を見ました
  ・・・壁にもたれて 目をあけて

     オゾン層の破れたようなアフリカの陽射しを

 (うつる ボンネットが濡れた靴のようにおもえた
 (うつる 坂みちをのぼっていた


  ・・・どこかで眠っている細胞が衝突する
、とき、―――



【42】



きのう橋を渡って  まっすぐ歩いていって  歩道のガードレールに
/駅の階段をあがっ


 + + +


心はあの日のまま
少年 。


 + + +


 記憶の中ではいつだって走っていた。空間がしだいに低くなり 
はな弁が地面を白く染めていた。影が入ってきて、雲がハンカチ
を用意する。そしてぼくは拍手する。


 + + +


誰かが写っている写真
ネオンアートが見せた 電車の横顔 プラットフォーム
、、、そして 灯りのついたまるいトンネル



【43】



吹き出しに文字をいれようとしていたのに
何故か吹き出しが散らばった猫 眠っているの図



【44】



くるみは空櫃の中に肋骨をいれ
沙漠は粘土をガラスにし

水 を の め ば 煙



【45】


 
拡  目
張  が
な  わ    広  醒
れ  た    大  め
ば  し    な た
い   、    腕
い  修
   道
   女
   に


 + + +


目が醒めた
拡張広大な腕

わたし、修道女に
なればいい



【46】



被爆



【47】



長靴に蹂躙されたうつくしい夕暮れ
重い、重い
罪はピザの斜塔!

手を這わせた太腿に
戸籍は
太陽に棲む鴉で、近 親相姦しちまえばいい

虧けた月が
ぼくを盲目にさせる
排泄するニトログリセリン

啓示の瞬間。ぼくはVivid
ストリップショウ・マラソンをしたい
デザインするのは「時代」
そしてそこに息づく男根や、女陰のことだと思う
さあ、かつて裂け目だったものよ
頂きより霧を俯瞰ろして
洪水しちゃえ、のうないのしょうべんで

簡単明瞭な祈祷は
信者を増加させるので一年かかっても終わらない儀式
さあ、ぼくの変態狂たち、
カラーンとした夏に遊ぼう
(ハー、コーリャコリャ・・。)

イエス・カモメは両腕をひろげて唾を吐く
もちろんそれはアンタの顔にかかるだろう、
めちゃくちゃなのだ、この人
まったくもってくだらねえ奴なのだ

―――でも、世界は美しい、
韻律はスフィンクスに、あたらしい謎を提供する
ぼくは純粋に妊娠してる!



【48】



・・・両親は、大人っぽくなったなあと独り言のように詠嘆的に言う
弟はおそらく出来ないのではないか、と回りくどく言う
白髪の多い老人は孫に深刻そうな表情で、妙に人なつっこくからんでくる

ピンクの服はあげるつもりだったのだけれど
服は妹にすこし似合わないような気がします
というか、服をわたしが気に入ってしまって

でも欲しいからではなく、渡すために、服を買ったのです。
青空に薄く絹雲が棚引く、――それが千切れてゆく時が音楽・・
この花がたくさんのつぼみをつけている

そして昨日デパートでハンカチを一枚買った
花をつけているのは服ではなく、わたしです、ごめんなさい、
性格がいいのは姉ではなく、妹。へ の、誕生日プレゼント・・。



【49】



この宝くじが当たったらこのシバが買えるよ
アフリカのナイル河が世界で一番長いといわれているけど芝刈り的事情で最上川が好き
しばしば景気が回復しなかったらといわれるけどわたしの部屋はいつも静かだ
シヴァというヒンドゥー教の神がいるけどシヴァは話して未知情報の破壊です
うまいこといったか! しば! いや、・・・してやったりと言いたい
「目標/ターゲット」だが「焦点/フォーカス」であるシバへは行ったことはないよ
ほら、ひろやすさん! あの人、うちの会社の人じゃない、トラック運転手の・・。
ところでメニュー見せて・・・え? そいつはどこんところの人なんだって、
もちろん、もちろん! 日本人ですよ

ところで、ひろやすさん、象は鼻が長くて、キリンが首が長いというのは本当ですか?
いやたまに、エレベーターとエスカレーターを間違えて言っちゃうんですよ、はは、
あなたはわたしの父親です! え、もう一度言ってみなって、あなたはわたしの叔父です
え? いや、まあ、いいじゃないですか、象は足が短くて、麒麟は足が長い
鰐は背が長くて、サーフィンボードに間違えられる。
え? 立派な格言デスヨ、いわゆる兵庫県デスヨ

そういえば、ひろやすさん、あなたが東京に住んでいるというのは本当ですか?
いや、東京でなければ一体どこなのかというのはわかります。
・・・明らかにショックを受けたらしいひろやす氏は、では参りましょうかと言う。
しかし何処へ? シバへ?
男たち、女たち、あるいは人と呼ばれる宇宙人たちは、食物を口の中で、
ほおばらせながら、まだ、耳の底で聞きなれた音楽に思いめぐらせている。

さて、ズボンのバンドでも締めあげ、時々しんとした頭の中で、
インド洋の瑞々しさを思い出しながら、ゆっくりとスプーンとよばれるものですくい、
その強いにおいを口からも吸い上げ、・・・ああ、この焦げくささがコクでね、
立ち止まって改まって吸いこんでみたくなるような、でも、オレンジや黄がまぶしくて、
たまに、茶色だのになって、炭のように黒くなって、しかしその一線でゆらめいている、
ほの苦いかおりが、ムッとする、つんとする、シバ・・。



【50】


いま、世界中で何が起こっているか、
それを考えていたら、渦を巻いたんだ。

渦を巻く大海原に
ひとり、取り残されたような孤独を

・・・味わっていたんだ。

どうして空は呪われているなんて思ったんだろう、
人魚は唾を吐いた・・・、教会の鐘は嘘を鳴らした、と――

僕は此の世の果てが心の中にしかないと知っていた。
――だから、世の亡ぶ兆しを恐れていたんだ・・。

無力な僕がその時に思ったことは、
世界を変えられるか・・・、僕は――ぼくは・・、
非情な宿命というのを感じた。

そして僕は悟った。初めて、色んな世界を受け容れた。
僕は・・・泣き崩れたんだ。

この世界は、
愛を探している――とても大きな、愛を・・。



【51 わたしの村に天馬が現れたとき】



風が哭いた
それでも一本の手綱を握り、
鈍い緑の宇宙をさまよう

青苔が褥となり
ああ、冬に何故憶う――菫草

遠くに飛ぶ鳥とて影の如き! 濁点の如き!
・・・ああ、わたしのしろき掌に

二月の土を落とし
嘶け! ――嘶け
とおき耳の落つる音



【52】



発光ダイオードで照らしてもどろどろのヘモグロビンが移動してる
田舎踊りみてえに・・・!

慈悲ある神の宥しをえてもめまいがするよう
(―――LOVE ・・・このおそれは抗えない――。)

フェロモンの分泌。-いま、かぐわしいにほひが襲ってくるよう
酩酊の中で脂分が唐辛子の破片みてえにバナナする・・。

オス! 重たしげに――。
温度や、光の感じに、感電する。
硬質セルロイドに沁みろメス!



【53 エイリアン】



古い石造りの家で、
わたしの両手はうしろ手に縛られています。
スピリッツが湿った地下のにほひ、
黴のにほひとに埋め尽くされています。
先程から、中尉・・・!
清冽な水のような気圧の変化に、
――左耳がやられました。
ああ、中尉、わたしを助けて。地が裂けて、
溶岩があふれてしまいそうです。
さっきから、苦痛というやつが、
千の敵をいち時に向かわせています。
ああ・・・! からだの内側がやけにヒリヒリします。
おお、中尉!
骨がみしみしと叫んでおります。
ああ、この体内に・・・何かが――なにか、
得体の知れないものが・・。



【54】



愛し合うことの意味
お互いを感じさせることの意味



【55】



青空が
 消えた
     街



【56】



何処から来て、何処から去るの

  イメージを保存して―――。



【57】



 無意識 ( の世界につながれて 海底に棲んでいる
遠いはるかな探究 ひと握りの観念 自我意識の発達
それらが今日的詩人の凡庸さから脱却すると信じて

  無意識のうちにのぼっている
 匍いのぼっている


    無意識 ( 泥酔のさなか、空には星の静けさがある


  × × ×


 水族館と劇場はある意味において同一である
 
 凡庸なわれわれを解放しようとする意味では


  × × ×

      雲間からおりてき(た) kotori

       陽のもとへと踊り出ることのない美は

 幻滅の檻のなかに入れられ

   ――(た)は田に 棲息する
 


【58】



ぼくらは髭のなかに時間の痕跡を認める
たとえば剃刀が飽和した秤のようなものであると直感すれば

ぼくらは洗面所のなかに無秩序があることを認める
顔を洗う手を洗うところに髭を剃るという暴力を発見すれば

ぼくらは正六面体サイコロ状にいることを認める
但しそれがそっくりそのまま手のうちにあるという幸運であれば

ぼくらは窓から太陽に噛まれることを認める
それがプラトニックなトリックとして蛍光灯感覚であるとしても

ぼくらは行為の癖や語法というものを選択していると認める
何故なら逆立ちせず宙づりにならない影響と喚起すれば

ぼくらは麻酔薬にやられた怠惰な夢を認める
そしてそれが不毛な鯨め!笑止千万と笑い飛ばす現実があるとしても

ぼくらは成長したいという肉体のなかの髯を認める
二つか三つの昇降機がほとんど並んで相角逐している動力・・

ぼくらは粘膜の泡や硝子の質感や泥まみれの汚物などを認める
それはまったく奇妙な思想ダネ!と言われてもいい所存で

ぼくらは玉蜀黍のような髭を生やしていることを認める
依然として気違いじみたステロタイプな黄色い笑いを退屈に!

ぼくらは雨風の中に浸されているのにとぼくが言うことを認める
何故禿頭のように毛がどんどん抜けて火星人にならないかと玉葱する



【59】



無理につなげてみたらいいかと思ったの
でもなにかすごくシュールよね



【60】



花の名がその馥りと共にあればいい
饑えや血のにおいや
 気も遠くなるようなヴィジョンから離れればいい

  いつまでも美しく、
   すれ違うたびに微笑む人がいたらいい


いつも心の底で意識している広がりであればいい
棘や蔦でなければいい

  それが煙のようであってもいい
  渇いた旋風でもいい

文字もねがいも光に満たされていたらいい
町名も人種も肌の色もあらゆる差別からも離れ
 ながい夜明けを感じさせるものだったらいい

  それは とび 去り
   それは いつか 消える

 * * *


さまざまな心のなかに繁栄という物質がある。
従兄妹や腹ちがいの姉妹にもあるだろう。

  歩いていた あなたが 鳥になる その 言葉
  歩いていた あなたが 夢になる その 言葉



【61】



しみ込ませたのは 見覚えのある色だった
だのに、ぬきがたい蔑視がある
  ながい腕ならいっそ麒麟の首ほどであればいい
  そうすれば笊を抱えて奇妙な光景を摘み取ってやる

 まむしを処刑する
 頭髪というウェーブを

  やがて僕等は階段をのぼる、気狂いじみた眼つきで
  靴音をひそめ、執拗な論理的欲望と軌道を

 空には花々、霞、雪の山々も描かれている。
 プリミティヴな原体験ー外部に促されることのない

  色は絶望や汚辱や悔恨や憤怒ではない
  しろい手であればいい・・
  内なる人の良心でありさえすればいい


ありさえすればいい 突破口、ブレイクスルー
ありさえすればいい 詩の空間

 ありさえすればいい イコールとスラッシュ
 ありさえすればいい 沈黙

 ・・・音がないという不安のために
 音が沈黙を測り始める

その滑らかに在る異質な瞬間が
ある箱をイメージさせるんだ

 ありさえすればいい この家

 ありさえすれば
 世界に突き刺さる



【62】



  ・・・使用上の注意・・・

いま、ここに顕在化されている身体のない、根拠のない、
絶対的なものは、あなたに咬み痕をつくります。


  ・・・使用後の注意・・・

わたしたちはそれを召喚することが出来ますが、それは唯一、
危機的で微細な自らの領野に千の名前を与える所から始まります。
最後まで、ごゆっくりどうぞ――


 1
拡大された皺がある、ねじれがある、意味作用の限界がある。

 2
無意識の表層化、夢の記述、自動筆記がある。
破綻がある。破局がある。catastrophe・・。

 3
液体がリン化する。
(燐? それとも臨? と識者は呟く。)
そこで彼は了解不能に意味深な語をアクロバティックに
きわめて首のつり縄的に内面化する。

 4

千の苦痛にすべり落ちる たった一つの絶望の声



【63】



はじらいが
なにかで入り混じった口元を思い起こさせる

いい匂いが
身辺にただようときは吹き曝しの紅色の軟弱


ねむりながらでいいから
発話したい

ねむりながらでいいから
すこし発情したい



【64】



世界は印象のうちに死ぬ

ああ! 昼

僕は面倒臭い

生きていることすらも



【65】


疲れ果てて
眠る



ぱら れ る

 ぱ らそ る

ぱぶり っ く

 ぱ い  ぷ

ぱ‐ド‐ドゥー

  ぱ チョ グゥ

パイ【Π/π/pi】

 ぱ いん

  ぱ・・



【66 それは真実だ】



小鳥の鳴き声が
死者のおしゃべり
樹が鳥
空は黄泉

 視ているわたしは像
 足もとはない
 首から下がない
 首から上はじきになくなる



【67】



中国の友だちが、アルよ、と言う
(目の前にあるのは、アルコール。

 コール、が残されている、夏の夜

  アルよ、・・・もう一度言った



【68】



ねむいっぺな
り○びたん
でも飲むべか
それともユ●ケル
それともゼ○か
いやいや
それがのお
くっくっく、
飲むものは
ヤ●ルトと
決まってる
のじゃなあ
ああ
効いてきた
オロ○ミンが
インじゃねえ
ってば
INは大阪
駐車場は一杯
イロはよこすか
やらしいのは
はまぐり
わたしは
みの●んた



【69 街はくじら】



なつかしそうに
はてしなくまぶしいものが
ふんすいを
ふきあげる

さかなやさんが
さかなをしいれたのに

なまこみたいな
ぶよぶよしたものが
ぜーんぶ
たべちゃった
   


【70 きょう】



味噌汁は黙っている
そろりそろりと箸をつけられ
でも光の指が
掻きまわしたあとで

その証拠に
鍋の中のように
ぶくぶくいわない

女房は知っている
すばやく
一枚写真を撮ったあと
きれいだね
おいしいだろうね
と会社で生まれることを



【71】



あなたに
御縁が
ありますように



【72 みずいろのせかい】



ざあ ざあ ざあ

あめが

やさしい

まどがしゃべるし 

ねむるし

つきないし



【73 やぶれそう】



きれいだなあ

きれいだなあ

ああぼくのこころは

きたないなあ



【74 とらっぽいやつ】



とらたんだ!

とらぱんだ!

おっと そうきた

とらのすけ



【75】



その日

白という文字が

曰くつきに思え

ぼくの口は

問うことを

田と畑だと理解した



【76 あなたは特別ですか?】



詩人はさびしいなあ

彼は自分のことばかりで

他人への愛を

公共への愛を

いつのまにか

呟かなくなる



【77】



僕は誰なんだろう?

僕は何処にいるんだろう?



【78】



ソーダ水が飲みたいよ、アホだよ
そうだよ、青だよ



【79】



ここはカモフラージュだ、とかもめ。
経験値があがった
レベルアップした。
知恵が1くらい上がった。
体力がたぶん2くらい上がった。
魔力がマイナス1になった。
戦闘力がともあれ0になった。
たたかえ、かもめ、
あしたの詩壇はお前の手にかかっている。
倒すぞ、老人に化けて、憂鬱詩人戦闘兵。
かもめはもちろん王女様を救うのだ。
そのために彼はペンという剣を握った。
かもめは魔法を唱えた。
さあ行こう! ぼくらの詩人名誉回復、
黄金時代を取り返すのだ。
「・・・魔法じゃねえよ」
いや気分だからさ、とかもめはぼやいた。
かもめ老人度が上がった。
かもめ少しことわざが巧くなった。
具体的に、と常套的な文句が、
使えるようになった。
シェリーいすちゃんをつれ、
まめーる永井さんをつれ、
ベートべン葛原さんをつれ、
さあ、RPGの迷宮を彷徨おう。



【80】



かつて、僕の名前は
****であった。



【81】



おいらはつかうやつ
チカクはへんどうす
シカクはかたいやつ
とかくははやいやつ
イキルはこわいやつ
さけるはやばいやつ
シットルへんなやつ
たたかうそんなやつ
ササルはいたいやつ
オモウはさるなやつ
シジョウなやみつつ
おいらはカンガルウ
アイツはさぼるやつ
なまけるくせなやつ
おいらは鳴らすやつ
カラスみたいなやつ
鳴らすやつはカラス
かまちはカステラす
かますこすごいッス
はまちはぺらぺらス
おいらは食べるやつ
おいらはばらすやつ
バラすはちがうやつ
バラスもちがうやつ
パラスはしらぬやつ
マンモスすごいやつ
おいらんふるいやつ
おいらが鳴らすやつ



【82】



大好きな腐海テレポート
糞臭い便所で迷子
ホネ生命ダストシュート危機
BOMB!! LIFE
永久に鬱、猛毒な涎、
腐りきった脳漿、
ペペロンチーノ腸
死神葬儀正義玉砕
腐れ不母!
不感傷的心拍数
アリ型ペニシリン
三角の帽子で海殺し
人類虐殺
世界平和



【83 存命確率】



世界中で
僕しか
いなかったら
大声で
「幸せです!」
と叫んでみたい



【84 主人公の心理】



バスに乗って
精巧な照準レンズで記憶し
ビルや病院や警察署や家々を
越えていった

下りねばと思いながらも
うとうとし
ふっと気づくとバスは
見知らぬ町にやって来ていた

賃金を払うために財布を出すと
「起こすと悪いと思って・・・」
それもそうだなと思ったのは
逆に起こして怒鳴られることも
ありうるなと思えたからだ

まじまじと運転手を見つめると
頭痛がした
下りるとすぐに踏切が見えた

自動販売機で缶珈琲を買う
僕はあまりにも遠くへ
来たのかも知れない
カーテンはもうすぐ
そこまで来ている



【85】



涙         と
 が          なれ
  ながれ
涙         と
 が       とな なれ
  ながれ

  季節 は       とな
               え

涙         と
        が       とな なれ
 
  なれることではなく
      季節 は   つなが
               つ たまま
涙         と
 が       とな なれ

  なれることではなく
             つなが
               つ たまま
涙         と
     かれ      涙 となれ



【86 ジャパニーズの薫り】



花は咲くことで 瞳にうつるということで
  風に逆らえないということで 

夢を見れなくなるということで

   花はうるむ、(と画家は)


 ――季節は流されていったということを
ことさらに感じ、問う術もないほど
削り取られた土のにほひをかんじ

    花は残された
   なにに凭れることもなく
  しかし飾ることもなく

 ・・・雨の中でも、晴れ間の下でも
生命をもたつかせ



【87 すきま(が)あいた】



真珠のミルクをのみながら1000年の羊水がしおのかおり
(が)しおり
しおりのなかにある苦悩と強迫に髪をつかれた女自身は
青い地帯[ナスカの地上絵、地上
              絵](を)と推察する

 しおり(は)流動状の澱んだ下流でびたびたとなる
しおり・ふぁっく
いやひらがなでも、意味はかわらない十字路は
迷い道(か)岐れ道しおりは母乳という雌牛

 白い花が散る時(チルチルミチル)と蒼白く感光する
毛糸はサフランの色、くさった球根はインクの恍惚
はしばみ、クローバー
否応なく、栞という文字を想起する植物性粘着質は
しおり(しおり)を抱きたいという人が両腕をひろげると
無重力の睡りがやってきます

かぐや姫は遅咲きの星雲をながめながら「舟です」
(が)しおり
大宇宙の神秘が、余白という究極的な文字が眩暈が

  ――しおり  かぞえられない
(しおり)はぼくの精の輸送管のなかで
迂回路的経験をへめぐり臍の緒の「おくれるな」
遠い瓢箪型の葉の偉大



【88】


ダツクスフンドは踊り続けろ
  ~すてきなフラミンゴ・ダンサーへ


blue Dark   cosmopolitan

fool   showcase


   ・・・ロックの神様が俺にこう言ったんだ
 イケ。――その時俺はステージの上でイッテた


            LAST DREAM
            ないとめあ・・・瞬殺

     戦場で(ら)線上の


   この(り)とりもなおさず続く鎖り切った
   てめえら、こぼれおちる話の筋


      医者が俺を檻の中に入れ(淹れ)
     3億とんで8年のダダイズム
     あるい5チョウネン的シュールレアリ

    ――音楽は病まない


  bypass   obelisk

  symmetry   image



【89】



 ねぇ、朝の光が
好きなの

 。。。沈黙は
くらげ。。。

朝、かげみたい


ーすこしぼやけてたと思う
ー本当に?
ーうん、・・・朝はするめみたいなんだ
ー乾燥してる?
ーすこし。しおのにほひがする
ーでも、好き・・・?
ーだって、朝になれば
 ( 誰もがぼくを見つけてくれるだろ・・)



【90】



ー飯喰いたいなあ、って思う時があるだろ?
ーああ。あるよ。
ーそういう時って、身体が飢えてんだ。
ー食べられる幸せとか?
ー噛む幸せ、アーメン!
ーあらゆる生命の増殖に!
ー体内の最近に!
ー近頃、キムチたべすぎだよの中国人に。
ー好き嫌いの多い子供へ。
ーGWでばふんうにをとった兄へ。
ーばふんうに?
ーそりゃおまえ、パヒュームの親戚さ。
ーぱひゅうむ?
ーおいおまえ、ちょっと可愛いじゃないか・・
ーなにが?
ーだってバキュームカー。
ーいや、吸い込んでないよ。
ーそう、喰ったんだ。










© Rakuten Group, Inc.